加藤勝信財務相は米国時間24日にベッセント米財務長官と会談する方向だ。米国は関税交渉の一環として円安を議論する構えを示す。協調介入や為替条項、日銀への一段の利上げ要求といった選択肢は、金融政策の自由度を奪うなどのリスクをはらむ。

「為替は私とベッセント長官で緊密に協議していくことを確認しており、この機会に長官と協議したい」。加藤氏は22日、訪米直前の記者会見でこう語った。「市場に臆測を招き、不測の影響を及ぼす恐れがある」として具体的な言及は避けた。

日米財務相会談は、米首都ワシントンで現地時間23〜24日に開かれる20カ国・地域(G20)財務相・中央銀行総裁会議にあわせて開かれる。加藤氏の訪米は22日の閣議で正式に決まった。

トランプ米大統領は自国の輸出産業に有利となる通貨安誘導を実施しているとして、かねて中国と並んで日本を批判してきた。21日には自身のSNSで非関税障壁として8項目を取り上げ、付加価値税や輸出補助金などと並んで為替操作を指弾した。

ベッセント氏は日米関税交渉の担当閣僚でもある。8日にはX(旧ツイッター)で関税や非関税障壁と並んで「通貨問題」を取り上げる考えを示した。

赤沢亮正経済財政・再生相が17日にベッセント氏らと閣僚級で協議した際は、為替は議題にしなかった。とはいえトランプ氏の目指す対日貿易赤字の削減は現実的ではなく、通商に加え為替や安全保障でも譲歩を迫られるとの見方がある。

財務省幹部は「ベッセント氏が何を求めてくるのかは分からない」と口をそろえる。米国側の要望と、日本側の対応が関税の交渉材料になるかの確認が急務となる。

会談を前にドルは幅広い通貨に対して下落している。対円では一時1ドル=140円台前半と2024年9月以来の円高・ドル安水準を付けた。主要通貨に対するドルの強さを示す「ドル指数」は3年ぶり安値で推移する。

関税政策に端を発するドル資産離れに加え、トランプ大統領が批判的なドル高を是正する動きが会談で出てくるとの警戒感がある。

みずほ証券の上野泰也チーフマーケットエコノミストは「ベッセント氏から円高要求を示唆する発言が出てくれば、市場の思惑に火をつけてしまうリスクがある」として、円高・ドル安の加速を懸念する。